谷戸って一体何なの?
関東(特に神奈川県,東京都多摩地区)には“谷戸(やと)”とつくバス停が非常に多いことがおわかりいただけたでしょうか
では、なぜそのようなことになったのか調べてみましょう。
辞典ではどのように解説されているか
丁度いい具合に私の手元には“講談社 日本語大辞典”という分厚い辞典があるので、まずコレで調べてみます。
:
:
やつれる【窶▼れる】(下一自)
@やせおとろえる。get thin haggard
Aみすぼらしくなる。be worm out
B面(おも)がわりする。get haggard
やと【谷▽】→やつ(谷)
やと【野兎▼】
野生のウサギ。のうさぎ。hare
:
:
で、“やつ”の項目を見てみると・・
:
:
やつ【谷▽】
水はけの悪い低湿地のこと。関東地方の地名に多い。やち。やと。
このように、「関東地方の地名に多い」と解説されています。
(ついでにいうと、神奈川,東京多摩地区は“谷戸(やと)”、千葉、茨城方面は“谷津(やつ)”が多いみたいです)
ここでいう“谷戸”とは何か
実は、日本語辞典で解説されている“谷”は神奈川,東京多摩地区で言われている“谷戸”とは少々違う。
どちらかというと釧路湿原のような広大な湿原のことを指すものと思われます。
漫画“釣りキチ三平”では釧路湿原のことを“谷地(やち)”とも言っていました。
恐らく日本語辞典では“谷戸”“谷津”をこちらの意味でまとめているのでしょう。
では、“谷戸”とはここではどのような意味があるのでしょうか?
先に解答を言ってしまうと、
●“谷戸”とは 丘陵地の谷間で小川の減流域を指す環境のことで、それに関連する森や沼池などをひっくるめて“谷戸”という。
“谷戸”は、猛禽類(鷲鷹)などを頂点とする生態系を形づくり、数多くの動植物が生息する生命の宝庫と言えます。
最近は大規模な宅地開発などで多くの“谷戸”が失われ、絶滅危惧種など生態系に大きな影響が出ています
“谷戸”になっていない地域に“谷戸”のつくバス停があるのは、すでに“谷戸”が失われてしまったのでしょう
ここまで説明をしてまだ“谷戸”についてピンと来ない人は、巨匠宮崎駿監督の映画“となりのトトロ”を観ましょう。
あの自然描写こそが“谷戸”の魅力を雄弁に語っています。
また、宅地開発などで“谷戸”を巡る闘いをコミカルかつ生々しく描いた映画作品として
“平成狸合戦ぽんぽこ”(宮崎駿監督)があります。
これらの作品は、“谷戸”を含む自然環境の保護を訴えたものであると言えます。
レンタルビデオ屋で借りられるので是非見てみましょう。
また、テレビの再放送も多くやっているのでそちらでチェックするのも良いでしょう
以上の“谷戸”についての解説は、“谷戸”の自然を保護する市民団体「奈良川源流域を守る会」のホームページを参考にさせてもらっています
「奈良川源流域を守る会」のホームページはこちらからどうぞ!(リンクページからも飛べます)
最後に、奈良川源流域を守る会 事務局 山田剛一さん、ご協力ありがとうございました。